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筆記具メーカーの「パイロット」が、人と創造力をつなぐウール100%の衣服「YUDANGI(ユダンギ)」をスタート

「パイロットコーポレーションのパーパスである『人と創造力をつなぐ。』を、本業の筆記具とは別の形でも実現できないか?そう考え始めたとき、毎日身に着けている衣服が思い 当たりました。衣服で人と創造力をつなげたらどうなるだろう?こうして始まったのが「YUDANGI」です」と、新規事業開発を目的としたチーム、未来創造室に所属する井口幸 子さんは笑顔を浮かべます。パイロットコーポレーションにとってアパレルは未知の領域で、「YUDANGI」は完全に手探りの状態から始めたプロジェクトでした。「日常に寄り 添いたい」という筆記具に通じる想いのもと、その中で井口さんがこだわったのは、ウール100%の素材でした。

インタビュー動画

パイロットコーポレーションは、世界的にも有名な老舗の筆記具メーカー。100年以上の歴史を持ち、現在は190以上の国と地域で筆記具を販売しています。同社が人と創造力をつ なぐための新たな活動の場として始めたのが未来創造実験室「PILABOT(ピラボット)」です。運営を手掛ける未来創造室では、アプリの開発や子どもの創造に向き合うプロジェ クトなど、筆記具メーカーの枠にとらわれない活動を幅広く行っています。

「衣服をつくろうとした際、まずは今生きている人々について考えました。そうしたら私たちは24時間、常に創造的に生きていることに気が付きました。朝起きたら身支度をして、 子どもを送り出し、仕事場へ。家に帰れば食事の支度、地域活動や趣味の時間と、本当にずっと創造し続けていますよね。そんな創造的に生きる人に寄り添った服が創れたら、それは創造的な衣服なのではないかと思いました。」

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井口さんの想いを形にするため、このプロジェクトにデザイナーの三上司さん、山口舞さんが加わります。デザインには日常生活での気付きも取り入れ、例えばギャザーシャツで は、一日に何度も袖をまくって皴が付く事を軽減するために袖口にはリブをつけるなど、細やかな配慮も反映されています。「夕方になると代謝が落ちてむくみやすくなりますけど 、その状態を衣服がきれいに隠してくれたら、仕事へのモチベーションやパフォーマンス向上につながりますよね。」と、衣服と人の繋がりを創造的にとらえ直す姿勢が、井口さん の言葉からうかがえます。

形の次は素材選びです。人間も自然物なので、素材には同じ自然素材を使いたい、そんな想いで様々な繊維と向き合い、たどり着いたのがウールだったそうです。その後、ウールの 知見についてさらに深掘りするため、当社を訪れた井口さん。担当者と5時間にも及ぶ意見交換をしましたが、「その5時間は、ひとつのお話も聞き逃せないくらい魅力的な時間でし た。」と語ります。「(調温・調湿機能のある)ウールが天然のエアコンと呼ばれていることや、防臭性と難燃性を兼ね揃えているなど、初めて知ることが多かったです。お話を聞 くうちに、四季折々で気候が変わる日本に暮らし、常に寒暖差にさらされている私たちだからこそ、実はウールの服が1枚あるだけですごく心地いい状態になれるのではないかと考えました。」

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そんな高機能なウールだからこそ、機能性をちゃんとお客様に感じていただくためには「ウール100%しかない」と決意した井口さんは、1年以上の試行錯誤を繰り返して「YUDANGI」を誕生させました。一年中ウールの良さを実感しながら着用してもらえるようにシーズンレスなデザインを意識し、あえてウールらしいぬくもりのある素材感を 抑えています。

「肌になじんで、まるで第二の皮膚のような、着心地のよいものがつくれました。料理でも食材がよいほど、あまり手を加えずに調理した方が美味しくなります。同じようにウール の魅力を最大限つき詰めた結果、シンプルなデザインに行きつきました。」と、三上さん。

デザイン、品質ともに自信をもって企画された「YUDANGI」ですが、安心もお客様に届けたいという想いから、第三者機関による検査で品質を認証する「ウールマーク」も取得 しています。「ウールマーク認証は歴史もあり140カ国以上で実施され、信頼がおけます。このマークをきっかけに、暖かさ以外のウールの魅力についてもっと深く知っていただけ たらうれしいですね。」と、自分と同じようにお客様にもウールと出会いなおして魅力を感じてほしい、そう井口さんたちは望んでいます。

だからこそ「YUDANGI」は、捨てるのではなく土に還す、循環することを実現させたくてウール100%にこだわりました。

パイロットコーポレーション
未来創造室・YUDANGI 
井口 幸子 氏

また井口さんが素材にウールを選んだのは、その高機能な特徴だけではなく、もう一つ別の大きな理由がありました。「世界中で大量の服が廃棄されていることが問題視されていま す。だからこそ「YUDANGI」は、捨てるのではなく土に還す、循環することを実現させたくてウール100%にこだわりました。」ウールは天然で循環する繊維のため、土の中で 分解されて土壌を豊かにしてくれます。

さらに井口さんたちは、「取り組み先もできるだけ環境配慮のある企業を」と考え、生地の加工はCO2排出量を削減するバイオマスボイラーや、排水浄化システムを導入している 企業に生地の加工を依頼しています。「環境にやさしく、「YUDANGI」をつくる人や着る人にもやさしく、そして地球全体にもやさしいことが循環において大切だと考えていま す。」人々の創造と地球環境の両方に寄り添う「YUDANGI」のように、私たちもウールに関わる方々へサポートを続けていきます。

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株式会社パイロットコーポレーション:万年筆の製造、販売から始まった老舗筆記具メーカー。「YUDANGI」というネーミングには「油断してしまうほどの着心地のよ さ」と、「そんな油断している姿も魅力的」というメッセージが込められています。